事務所のドアを開けた瞬間、あたしはクラッカーとおめでとうの声の波に包まれた。
「お、おう! ありがとな!」
面食らってしまい、一瞬呆けた顔になったが、すぐに満面の笑みを作ってお礼を言う。
今日、9月16日はあたし、神谷奈緒の誕生日だ。
ソロの仕事を終え、事務所に戻ってみると、そこにはトライアドプリムスの凛と加蓮がニコニコしながらあたしを待っていてくれた。
「どう? 綺麗でしょ? 頑張ったんだよ?」
加蓮が自慢げにあたしに感想を求めてくる。
ぐるりと事務所を見回すと朝にはなかった飾りが至る所にされているのに気が付く。なるほど、これは確かに手間がかかっているだろう。
「確かになぁ。よくこんなに出来たよなぁ」
加蓮と凛もあたしと同じく仕事があったはずだから、これだけの飾りつけをするには相当頑張らないといけなかっただろう。