ーカルデアにて
私の最期は今でも鮮明に思い出せる。魔女とされ、火刑に処されたあの時を。身を焦がす焔を、私に対する恐怖で染められた民の顔を、異端尋問官の嘲笑を。
そのことに私は憎しみを感じてはいない。私が死ぬことがこの国のためになるならば、私の歩んだ道に後悔はない。
けれども、私は忘れられない。あの焔を忘れられない。あの痛みを忘れられない。
フランスが私を殺したという事実を私は忘れられない。
熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
誰か!誰か私を!
ジャンヌ「ああああっ!!!」
ジャンヌ「……ああ、またこの夢か」
時折、焔に焼かれる夢を見る。英霊へと昇華されようが、焔は私を焦がし続けている。
そして、すっかり覚めてしまう私はカルデア内をフラフラとさ迷うことが夢を見た日の習慣となっていた。
ジャンヌ「はぁ、長い夜ですね」
ぐだ男「あれ?ジャンヌ、こんな時間にどうしたんだい?」
ジャンヌ「ま、マスター!いえ、少し寝付けなくて…。マスターこそ、こんな夜更けにどうなされたのですか?」
ぐだ男「いやー、新宿から帰ってきてから静謐が俺のベッドに勝手に入ってくるようになってね。ちょうど静謐を自分の部屋に運んだんだよ」
ジャンヌ「そ、そうでしたか。でも、静謐さんも悪気があるわけではないと思いますよ。マスターのことが心配で、近くにいないと不安になるんですよ」
ぐだ男「わかってはいるんだけどね、そのままにしておくと翌日が怖くてね…。主に清姫とかが…」
ジャンヌ「ああ…それは大変なことになりそうですね」
ぐだ男「ジャンヌはどうして寝付けないの?」
ジャンヌ「いえ、な、なんとなくです」
ぐだ男「嘘。そんな悲しそうな顔してるのに何もないわけないじゃん」
ジャンヌ「ううっ、」
ぐだ男「話してごらん?俺じゃあ頼りないかもしれないけど、少しは心が楽になるかもよ?」
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